Quarterly Monday vol.4「おまけ第1号」


 
発行責任者:長島 輝雄

"Quarterly Monday" vol.4
「おまけ第1号」(2000年02月01日号)
Mondaynight Jazz Orchestra メールマガジン
(1月4月7月10月初旬の年4回発行、次回2000年4初旬発行予定)
発行責任者:長島 輝雄(Manager兼 MC兼 Bass少々)

 

マンデイ・メールマガジンをご覧頂いている皆様へ

 
マンデイ・メールマガジンの「おまけ」です。

今 新聞などでも大きく取り上げられている話題の映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を見に行って来ました。
暖かい日差しの中で露天風呂にどっぷり浸かって、身も心もほぐされていくような映画でした。 是非、見に行かれる事をお勧めします。
東京では渋谷パルコ3の向かい側、「シネマライズ」での単館上映のようです。最終上映のスタートが19:50なので、仕事帰りでもOKですよね。

お話はアメリカのギタリスト ライ・クーダーが、キューバのジジ・ババ(敬愛を込めてそう呼ばせて頂きます)・ミュージシャンを集めて97年に作った同名CDの録音風景と、メインキャストのジジ・ババ達とのインタビューと、アムステルダムとカーネギーホールでのコンサート風景とを、淡々とドキュメンタリータッチでつなげているだけなのですが…。

良いのですよ、これが。
「ラテン」といえば、今どきのあおりあおられノリノリ・バージョンしか思い浮かばなかったのですが、この映画の中のジジ・ババ・キューバン・ミュージシャン達の作り出す「ラテン」は全く違っていました。

「ユルユル」です。
それも哀愁を帯びた「ユルユル」です。フォルクローレとかシャンソンとかと同じ地下水系でどっかつながっているような…。(ハハ、どっちも良くは知らないんですけど、そんな感じかなって。)
でも、紛れもない「ラテン」で、ゆったりとしっかりとグルーヴしていくのです。歌っている、演奏している、ジジ・ババ達が、本当にカッコ良いんです。90才のギター・ボーカル・ジジは葉巻をくゆらせながら、「俺はまだまだ現役だよ。子供も5人いるが、6人目は今 かみさんの腹の中だ」なんて言っちゃうんですよ!!

それにしてもこの映画で見る限り、キューバの経済状況はかなり厳しいようですね。「貧しい国」の「豊かな音楽」という事なのでしょうか。

クライマックスとなっているカーネギーホール・コンサートの為に、ニューヨークにやって来たジジ・ババ達が「きれいな街だナ」「なんて高いビルだ…」と呆然と呟く姿や、カーネギーのステージでキューバ国旗を大きく広げる姿を見ていると、アメリカの「キューバよ、もういい加減にやせ我慢はよせ!」とか、キューバの「いやいや、まだまだ頑張るぞ!」とかの両方の立場に気を遣いながら、映画を作っているような気がしました。(ハハハ、これも良く分かんない話ですけどね)

しかし、この映画を見ていると、何でも良いから一つの事を続けていれば、何か良い事起こるかも知れない、ウーン、オジサンも頑張ろうって気になりますよ。私だったら?、90才で子供は作れなくても、72才でベースは弾いていられるんじゃないかな、とかね。何で72才かっていうのも良く分からないけれど、あと二回りの24年位なら何とかいけそうな気が…。我が心の師レイ・ブラウンだって今 73才で現役バリバリですし。でも、マア、ぼんやりとですけど、そんな事まで考えてしまう映画でした。

ところで、このCD「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」をきっかけに、ジジ・ババ達は売れたみたいですね。最後のカーネギーでの衣装なんて、みんなおしゃれな服でキマッテいるんですよ。インタビュー場面でみんな忘れられた存在だったというのを見ているだけに、音楽続けててよかったね、幸せになったんだね、アア良かった、良かった、と思って涙ジンワリでした。

大声で笑うところもないし、ハラハラドキドキするところも全くありませんが、満ち足りた気持ちで映画館を出てくる事ができますよ。映画の中のゆったりとしたリズムが頭の中で繰り返されていて、歩くテンポも回りの人と違ってしまったようでした。

是非、皆さんもブエナ・ビスタ(良い眺めという意味だそうです)体験を。心の芯から暖まりますよ。

「寒の街 一人流れに 遅れつつ」

以上 マンデイの長島でした。

発行責任者 : 長島 輝雄