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平野 |
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Hi!Jeff !(お互い抱き合って挨拶) |
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Jeff |
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Hi!Bon!元気だったかい?ところで、今何時? |
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平野 |
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(数年前にJeff からもらったHamilton社製の腕時計を見て)「It's Hamilton Time!」 |
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Jeff |
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わっはは!体調はどう? |
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平野 |
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うーん、昨年ちょっと入院をしたけで、今はまあまあってとこかな?煙草はやめたよ。Jeff は相代わらず、忙しそうだね! |
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Jeff |
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ビッグバンドの方はそうでもないけど、トリオを相変わらず、ツアーで忙しいね。Bonのバンド、「LH4」は毎月ライブをしてるんだろう?どんなメンバーでやっているんだい? |
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平野 |
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家の近くのライブハウス「レフトホース」というところで、やっているんだけど、昔からそこでジャム・セッションをやっていて、そこで知り合った連中なんだ!基本的には歌伴が中心で、歌手の吉岡亜希子は結構、いい歌を歌うよ。サックスの石井潤之介は、♯&♭というビッグバンドなどで吹いている佐藤達也さんの弟子で、彼も結構いけるよね。ピアノは斉藤めぐみと言って結構長く付き合っているピアニストなんだ。ベースは河原秀夫さんのお弟子で、高原明彦というんだが、きちっとバンド全体を支えてくれるベースなんだよね。一度、Jeff
にも聞いてもらいたいな。バンドの名前は、お店の頭文字とJeff
がレイ・ブラウンやバド・シャンクと組んでいた「LA4」にひっかけて「LH4」となずけさせてもらったよ。 |
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Jeff |
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Bonは結構歌伴が好きだよね。いつ頃からジャズ・ボーカルが好きなんだい? |
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平野 |
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歌伴はJeff も結構やっているよね。いろんな歌手がJeff をファースト・コールしているみたいで、いつもすごいなーって思っているんだ。ジャズ・ボーカルが好きになったのは、高校時代かなー!よく友達とボーカルのレコードを買って自宅で聞いていたんだ。一番好きなジャズボーカリストは、サラ・ボーンだね。 |
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Jeff |
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サラはいいね! |
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平野 |
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サラは最高さ!大学時代に池袋に「ジャズ・ベッド」というジャズ喫茶があって、そこで「Sargh In Japan」というアルバムを聞いて、「Knock
meout」されたんだ!それから、彼女が来るたびにコンサートに行ったけど、彼女がのしのしと舞台に出てくると、嬉しくて涙ぐんでしまうんだよね。彼女のレパートリーでは、「Just
Frieds」と「I Can't Give YouAnything
But Love」が好きなんだ!彼女の晩年は、かつてカウント・ベイシーの名ドラマーだった、Harold
Jonesがバックをつとめているけど、名シンガーには必ず名ドラマーがつとめているよね。「Sargh
In Japan」では、あの歴史的な名ドラマーJimmy
Cobbだし、エラのところには、オスカー・ピーターソンのドラマーだったBobby
Durhamがつとめていたし、Jeff
も一時彼女のバックをつとめていたよね。歌伴ができるドラマーは一流だよね。 |
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Jeff |
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歌伴の曲はどんな曲が好きかな? |
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平野 |
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一杯あるけど、例えば,「No More Blues」「Only Trust Your Heart」「Lover
Come Back To Me」「But beautiful」「Nearness Of You」「My Rpmance」「Fool
On The Hill」,インストメンタルだったら、「Maiden Voyage」「Seven Step To heaven」「Stella
By Starlight」「This
I Dig Of You」が好きだけど、やはり一番好きなのは、コルトレーンの「Moments
Notice」だね。最近、年をとってきたせいか、バラードみたいな、ゆったりした曲が好きになってきたよ。 |
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Jeff |
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好きなドラマーは? |
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平野 |
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一番好きなドラマーは、まず誰が何と言おうと、君だよ!ドラムセットは、Jeffが使っている「Remo」ではないけど、シンバルはすべて君がデザインした「Bospherus」のハンマー・シリーズだよ。君がサインしていれたシンバルは最高だよ。本番の時は君のことを思い出して「ジェフ!力をくれ!」ってお祈りするんだ! |
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Jeff |
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俺は神様か?(笑い)俺のことはいいから、俺以外にどんなドラマーが好きなのか、おしえてくれ! |
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平野 |
: |
君がかつて「20インチのバスドラムはフリーだからいいんだ!」って言っていたけど、その意味がよくわからなかったんだ。でも、Mel
LewisのビッグバンドでMelのプレイをビデオで見て、20インチのバスドラムの良さがわかったんだ。日本ではビッグバンドドラマーとしてとても評価が低いんだけど、あの音色は最高だね。そもそも「ビッグバンドドラマーは音が大きくないといけない
」という考えが日本にはあって、「俺について来い!」といったタイプのドラマーが最高とされているんだよね。でもMelは下からバンドを支えてスィングさせるタイプで、今僕がめざしているのはMelやJeff
のようなタイプドラマーなんだ。それに、Melはビッグバンドについての理論がきちっとあって、そのことがアメリカの「モダン・ドラマー」誌に書かれていたけど、とても参考になった。例えば「ドラムの位置はトロンボーンと並ぶといい。そうすることで、ドラムの音がバンド全体に聞こえる」といったことなんか参考になったなー。それにしても「スミソニアンでのMel
Lewis」のオーケストラは最高だね。 |
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Jeff |
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Melのビッグバンドは俺も若い頃によく聞いたよ。彼の勧めで、チャイナ・シンバルを使うようになったんだ。 |
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平野 |
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Jeff の武漢(ウ?ハン)製のチャイナはいつ聞いても背筋がぞくぞくするぐらい、いい音がするよね。手放す時は知らせてね。 |
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Jeff |
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それ以外のドラマーは? |
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平野 |
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Jeff が好きなShelly Mannもいいよね。特にバーニー・ケッセルとレイ・ブラウンとの「Poll Winners」の2枚のCDは名盤だよね。Shelly
Manのブラシも最高だし。猪俣猛さんも若い頃、彼を研究していたことを知っていたので、彼について質問したら、「彼がいいのは、1960年以前ですね」って言われたので、何枚か聞いてみたら、やっぱりそうだった。それと最近では、ケニー・ワシントンというドラマーも好きだな。小気味よいドラミングと美しい音色が好きだな。 |
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Jeff |
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ふむふむ |
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平野 |
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あとは、3年前にピアノの岸ミツアキさんのライブで出会った、GradyTateもすばらしいな。歌も最高だし、人柄もフランクでご機嫌!菅野義孝という、知りあいのギターリストが数年前に彼とニューヨークでレコーディングしたんだけど、彼の人柄がよくドラムの音色に出ているよね。彼のドラムを生で聞いた1ヶ月間は、しばらくJeff
のことも忘れて、Gradyのことで頭が一杯になってしまったことがあるよ。大学生時代は好きではなかっただけど、コンボをやるようになって、亡くなったTony
Williamsが好きになったんだ。彼のタイム感はすごいね。音もすばらしい。音色については次第に彼の年輪みたいなものが感じられて良かったのに、本当に残念だよ。それと、ピーター・アースキンも好きだな。彼はジャズの歴史をきちっと勉強しているんだね。かつて日本のジャズ雑誌「ジャズ・ライフ」にジャズドラムの歴史を連載していた。それと、先日、彼の教則本を読んでいたら、「私の最も好きなブラシ・プレイヤー」として、Jeff
の名前があがっていて、とても嬉しかった。 |
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Jeff |
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それは光栄だね。 |
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平野 |
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ピーターだけではなく、僕もそう思う。否、みんなそう思っているよ。ところで、Jeff Hamiltonモデルのブラシは一般的にはとても使いづらいだけど、Jeff
の奏法だと上手くコントロールできるよね。それと、普通のコーテッィング・ヘッドではなく、「ファイバー・スキン」との相性は抜群だよね。 |
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Jeff |
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Bonにいつも言っているように、ブラシは「Neber Press」が鉄則だよ。 |
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平野 |
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嫁さんの郷里、新潟に行ってジャム・セッションに参加すると、ほとんどのドラマーが君のモデルのブラシを持っているんだ! |
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Jeff |
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アンソニー・ステインという俺の弟子が新潟でおしえていたようだね。 |
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平野 |
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彼には数年前、大晦日に新潟で会ったよ。 |
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Jeff |
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Mondaynight Jazz Orch.は今年35周年だって!よく続いているね。先
日のCDなかなかよかったよ。 |
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平野 |
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レコーディングの時はJeff のドラムセットを貸してくれてありがとう。憧れのドラマーのセットを使ってレコーディングできるなんて、本当に幸せだったよ。 |
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Jeff |
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35周年は何かやるのかい? |
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平野 |
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まだこれから、バンドで検討するところなんだ。 |
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Jeff |
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最近、日本に行っていないから、マンデーで俺を呼んでくれないかなー |
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平野 |
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Jeff はギャラが高そうだからなー。それにスケジュールも一杯だろ。 |
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Jeff |
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そんなことはないよ。 |
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平野 |
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来てくれたら、うれしいな。きっとステージの上で泣いちゃうよ。 |
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Jeff |
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Bonは涙もろいね。 |
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平野 |
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最近、特に涙もろいんだ。以前は、サラ・ボーンが亡くなった時に、合宿所の近くの餃子屋で泣いてしまったし。最近は、大好きな柳家権太楼師匠の「芝浜」でも泣いちゃったよ。 |
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Jeff |
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今日は楽しかったよ。また何とか、日本に行くよ。 |
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平野 |
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もう3、4年会っていないから、ぜひ会いたいなー。トリオでもビッグバンドでも、または歌伴でもいいから、来てよ。できれば、ビッグバンドで来てくれれば、世界1のアレンジャー、ベーシストのジョン・クレイトンにも会えるし、ピアノのタミール・ヘンデルマンにも会えるしなー。トップのピジョン・ワトソンにも会いたいな。 |
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Jeff |
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Bon! Keep Swingin'! |
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平野 |
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See You Jeff! |
っていうような初夢を見ました。なかなか来日してくれないJeff Hamiltonですが、今年はぜひ再会したいものです。日本では、ベイシー没後もカウント・ベイシーのビッグバンドが人気ですが、アメリカでは「Clayton-Hamilton
JazzOrchestra」の人気もかなりのものと言われています。指揮者でベーシストのジョン・クレイトンのアレンジは再高ですので、ぜひ一度聞いてみてください。お薦めは「Live
At MCG」です。